2009年7月30日木曜日

テンタクルズ




OPCAB用サクション型視野展開補助装置。
住友ベークライトDVDあり。

利点
心尖部吸引型と比較して吸引力が強いが、心外膜損傷が少ない。
多方向への牽引が可能で、心内腔を広げることができ、これにより血行動態を安定させることが可能。
安価

欠点
3本のサクションチューブに、3本の牽引紐があり、術野がやや煩雑になる。

これの凄いところは3本のサクションチューブに逆流防止弁を備え、たとえ1本が剥がれたりして、吸引圧が逃げても、他のサクションチューブ内の弁が閉鎖することにより陰圧が保たれるというところ。心臓の突然の落下を防止することができる。

OPCAB以外にも意外な使用法がありそう。

http://www.sumibe.co.jp/products/03_29_o.html

2009年7月29日水曜日

PPIとClopidogrel

Risk of Adverse Outcomes Associated With Concomitant Use of Clopidogrel and Proton Pump Inhibitors Following Acute Coronary Syndrome
JAMA. 2009;301(9):937-944.


メカニズムから言えば、PPI(omeprazoleなど)は、CYP 2C19代謝と関連するので、同様の代謝経路のclopidogrelの血小板抑制作用を減弱するそうだが、臨床的な重要性は不明であった。

単施設レトログレード試験。アメリカ退役軍人病院。

多変量解析にて、clopidogrel+PPIは、PPI服用無しのclopidogrel単独に比べACS死亡・再入院リスク増加 (補正オッズ比 [AOR], 1.25; 95% 信頼区間 [CI], 1.11-1.41)

この差はわずかである。しかも補正されているとはいえ、明らかにclopidogrel+PPI群のほうが状態の悪い患者が多い。

これだけでは、禁忌というまでには至らないであろう。それより潰瘍出血のほうがはるかに頻度は高く、怖い。

他のCYP 2C19代謝薬剤はどうなのだろう??

2009年7月28日火曜日

IMRの評価

虚血性僧帽弁閉鎖不全症は、ダイナミックな疾患であるため、状況に応じて病態が変化する。特にストレス下で悪化するので、麻酔下では過小評価されやすい。
エコー室、Op室においてヘッドダウンやシェイクハンドなどでの評価がいいかもしれない。

2009年4月6日月曜日

2009年 外科学会メモ

HD患者のうちDMは大きな因子。その他の因子を比べる意味よりも強い。

OPCAB
パスポートを打つ時、動いて困る場合はスタビライザーを使用するとよい。
CAPS:内シャントチューブの代用品で拡張期に末梢に血流を流せる。

スペアリングにおいてラーニングカーブは術前・術中のディシジョン・メイキングであって、テクニック自体はあまり難しくない。

TAR:無名静脈はIMVを結さつするまで剥離。末梢側の剥離はAo背側を切開していき、外膜を逃さないようにする。

EVAR:腎機能低下患者はHDになるまで待つと腎動脈までランディング可能になる。逆にEVARの際に腎動脈狭窄があると治療を同時に行える。

DESは除去困難。BMSは簡単。
ステントグラフトの除去も簡単だが、再建は手術が大きくなり困難となる。ステントグラフトの固定術はうまく行かないことが多い。ステントによる糸のカッティング。ステントを外すと耐久性の心配が出てくる。

フリースタイル
コロナリーボタンはRCAを合わせる。LCAはずれるので新たに作成。

再手術
右心系の圧の高いものは注意が必要。ECCを回す。

AVRリーク
切開が高すぎるなどで、視野が悪く、弁が降りないことが原因。一番深い部分を先に下ろす。
左室形成
クランプ下ルートパーフージョン・ビーティング。利点はビーティングを保てること、エアの混入が防げる。

ゼニス:ショートネック、CIA瘤に適応。シャワーエンボリ、脚閉塞に注意。
エクスクルーダー:angulation, poor accessに可能。タイプ2に注意。
ゼニスフレックスが近いうちに登場。


思い付き
TAAA分枝折れ曲がり防止にリング付ゴアテックスはどうか?
広範囲置換の際、オープンステントを前もって冷やしながら末梢側からやる方法はどうか。多分、そんなに難しくないと思う。直視下で末梢グラフトグラフト吻合が可能。ステントグラフトに縫い代が必要。ステントのない部分

2009年2月12日木曜日

疑問、右房内が血液であふれてしまうこと

先日の右房腫瘍切除時のことなのですが、Total bypass(S&IVC脱血でスネアもして)としているのに、右房内が血液であふれていました。ほとんどは三尖弁から逆流です。Aortic clampも確実にされていましたし、LV ventも追加したのに、全く効果がありませんでした。
どうしてこんなことが起きるのでしょう??
可能性としては、肺分画症、気管支動脈が発達している。などが考えられますかね??
対処法としてはPAventも追加すればよかったかもしれません。
何かご存知の人があれば教えて下さい。

2009年2月10日火曜日

Predictors of recurrence and reoperation for prosthetic valve endocarditis after valve replacement surgery for native valve endocarditis.

Predictors of recurrence and reoperation for prosthetic valve endocarditis after valve replacement surgery for native valve endocarditis.

Fedoruk LM, Jamieson WR, Ling H, Macnab JS, Germann E, Karim SS, Lichtenstein SV.

J Thorac Cardiovasc Surg. 2009 Feb;137(2):326-33. Epub 2008 Oct 23.


IEにて人工弁置換術後の死亡による検討。目的は人工弁の種類の違いがあるのか。エンドポイントはIE再発または死亡

IV drug user/HIV 患者の成績がすごく悪いため。これが全てに影響を与えている。
人 工弁の種類に関しても、IV drug user/HIV 患者のバイアスがあり、単変量解析では差があるが、多変量解析では差がなくなっている。なんと単変量解析では、機械弁のほうが良いという結果であった。ク リーブランドクリニックのホモグラフトの論文と比較しており、成績に差がないことを強調しているが、IV drug user/HIV 患者のバイアスのことがあり、これについて検討しないと差がないことは言えないであろう。
弁輪部膿瘍、菌の種類などは、ほとんど述べられていない。

2009年2月2日月曜日

Coronary-artery revascularization before elective major vascular surgery.

Coronary-artery revascularization before elective major vascular surgery.

N Engl J Med. 2004 Dec 30;351(27):2795-804.Click here to read


McFalls EO, Ward HB, Moritz TE, Goldman S, Krupski WC, Littooy F, Pierpont G, Santilli S, Rapp J, Hattler B, Shunk K, Jaenicke C, Thottapurathu L, Ellis N, Reda DJ, Henderson WG.

先日のタイトルの非心臓手術前の心臓評価ガイドラインの元になった論文.やや古く2004年。

疾患はAAAとASOのみ。血行再建する、しないをランダマイズしている。PCIかCABGは循環器医が決定。
6000人弱の患者のうち、80%は除外されている。主な原因は心リスクが高い。緊急手術。他の重篤な疾患など。510人がエントリー。
心筋梗塞の定義が、心筋逸脱酵素の上昇と心電図変化と、かなり厳しい。おかげで10%以上が心筋梗塞というやや現状とかけ離れた結果になっている。

実際に心筋梗塞を起こす病変はタイトな病変ではなく、マイルドな病変であるから術前の冠血行再建は無意味という趣旨。