2009年12月2日水曜日

虚血性僧房弁逆流:外科治療の適応


虚血性僧房弁逆流



Circulation 9月29日号、Clinician Update「Surgical Management of Ischemic Mitral Regurgitation」
日本心臓病学会誌Vol.4 No.2 2009 J Cardiol Jpn Ed P130~162 「私はこう考える 『虚血性僧房弁逆流:外科治療の適応は?』」

■虚血性僧房弁逆流は僧房弁に器質的病変が無く、僧房弁を支える弁下組織、特に乳頭筋と左室の異常が関与しそれらの原因が虚血によるものと定義づけられる。
■虚血性僧房弁逆流は虚血の治療だけでなく僧房弁逆流を来たした左室の治療が必要であり、その診断には、その原因としての左室機能低下に対する診断を常に含まなければならない。
■虚血性心疾患では、軽度の僧房弁逆流でも予後が悪いことを常に留意すべきである。
■虚血性僧房弁逆流は「弁膜症」の表現形を持った「心室疾患(心筋疾患)」であるため、基本的に心不全になりやすく、自然予後も悪い。
■キーポイントは前尖・後尖を含めたテント化の評価と克服といえる。


手術適応は、ガイドライン上、手術推奨IIbとなっており、かなり限られた症例のみということになっているが、上記のように逆流が軽度であっても長期予後に与える影響は大きく、CABGなどの手術の際には、併施すべきであろう。
アンダーサイズアニュロプラスティだけで、いける症例もある。
虚血性僧房弁逆流はダイナミックな疾患であり、運動負荷、薬物などによって大きな影響を与えるので、評価は厳しくすべき。既往のなかで最も悪かった時を基準とする。
Dd 65 Ds 50以上はリモデリングが進行しやすいので、手術適応としても良いかもしれない。
スワンガンツで、v波の大きさが大きいものは、左房が硬くなっている証拠であるので、手術すべき所見。

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