2010年12月11日土曜日

アルドステロン拮抗薬

最近、アルドステロン拮抗薬が心不全治療に注目を集めています。外科では、切れのいいラシックスを主に使っていて、アルドステロン拮抗薬は補助的(Kの低下を防ぐのと、若干の利尿作用)に使用していますが、今後は積極的に使っていくべきでしょう。

EMPHASIS-HF試験
背景:比較的重症の心不全での有用性は証明済み,比較的軽症の患者では?

EMPHASIS-HF試験では55歳以上,NYHA心機能分類Ⅱ度,ただし左室駆出率(LVEF)は30%未満(または30~35%で,心電図QRS幅130msec以上),さらに薬剤はACE阻害薬ARB,β遮断薬を投与している患者が対象。

エプレレノン群(1,364例)またはプラセボ群(1,373例)に割り付けられ,エプレレノンはeGRFが30~49mL/分/1.73m2の低腎機能患者では同薬25mg/日隔日投与から4週後に25mg/日へ増量,eGFR 50mL/分/1.73m2以上では25mg/日で開始し,4週後には50mg/日で増量した。
その後4カ月ごとにK値を測定し,5.5~5.9mEq/Lではエプレレノンを減量し,6.0mEq/L以上では中止した。

観察期間中央値21カ月において,1次エンドポイント(心不全入院+心血管疾患死)発生率はエプレレノン群18.3%,プラセボ群25.9%と,エプレレノン群で37%の有意な減少が認められた。


アルドステロン拮抗薬はミネラロコルチコイド受容体に結合しアルドステロンの作用をブロックする。
エプレレノン(セララ)の方がミネラロコルチコイド受容体により選択的に結合し,女性化乳房が認められにくい。
高K血症に注意が必要。糖尿病患者では、必ず微量アルブミン尿がないことを確認しなければならない。また、中等度以上の腎障害、これはクレアチニンクリアランスで50mL/min未満患者でもカリウムが上がる可能性があるので、投与禁忌である。

腎障害がない限り必須治療薬という認識でよいかもしれない。

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