2009年9月28日月曜日

胸部大動脈瘤の治療



日本外科学会雑誌2009年第5号
特集:胸部大動脈瘤の治療

気になったものをピックアップしてみました。


下行大動脈瘤
III型慢性解離症例では弓部を遮断したい誘惑に駆られるが、解離症例では遮断による術中解離の危険がある。症例報告もある。



大動脈解離

送血部位

EntryとReentryの位置関係から、大腿動脈送血では偽腔が膨隆し重要臓器への真腔血流が不足する症例が経験され、腋窩動脈送血が重要視されるようになった。
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CT上大腿動脈送血だけでいけると判断しても、直腸温の下がりが悪いなどMalperfusionが疑われた場合はすみやかに腋窩動脈送血を追加すべきである。

上行置換か弓部置換か
基本的にEntryの位置によって決定されるが、弓部置換の手術成績は改善しているとは言っても上行置換より死亡率は高く、手術時間は長い。急性期の手術成績を良好に保ちつつ遠隔成績の改善をめざす努力が必要。

ステントグラフト
真腔狭窄をきたしている部分にbare stentのみを挿入することがあるが、あくまでEntryを閉鎖した状態で行うことが重要で、Entry閉鎖なく、bare stentを挿入すると、真腔狭窄部が移動する結果となり、かえって治療が行いずらくなることもある。

挿入ワイヤーは上腕動脈から挿入した4Frカテーテルでカバーし、ワイヤーが直接内膜にあたり、損傷しないように工夫している。

Maloperfusion症例の場合は、ワイヤーを抜去せず、圧測定ならびに大動脈造影を施行する。

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